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​蜜蝋鋳造技法について

こちらで販売しているジュエリーの多くには「蜜蝋鋳造技法」を​用いております。

蜜蝋鋳造技法は、明治時代以前から鋳金技法の一種として金属製の置物などを作るのに使われてきました。

(佐渡地方でよく作られたようです。)


しかし、ジュエリーに使われるようになったのは今から数十年前からです。


また、この技法特有のひき目模様やアクセサリーに使えるような軽さに仕上げることが難しいこともあって、使っている人はごく少数です。

鋳造とは、作った型の中に溶かした金属を流し込む金属加工の一つです。

(金属製の調理器具やカトラリー、置物なども鋳造で作られています。)

《 一般的なロストワックス鋳造技法との違い 》

アクセサリーの製造には、パラフィンワックスによるロストワックス鋳造が一般的です。

この製造方法の特徴として、彫りなどを使用して動植物や楽器などをリアルに表現することが可能であること、同じものの大量製造を得意とします。

これに対し、蜜蝋鋳造技法は​抽象的な表現を得意とします。

蜜蝋鋳造技法の、ひき目模様を生かした造形は金属に命が吹き込まれたかのような優しい華やかさを感じさせます。

​制作方法について

蜜蝋をひいているところと、ひいた蜜蝋

《制作過程1》蜜蝋をひく

蜂の巣から採れる蜜蝋と松の木から採れる松脂。

これらを混ぜて溶かし、人肌にまで冷ますと粘土のように形を作ることができます。

この状態でゆっくり静かにひっぱると、独特のひき目模様が現れます。

これらは一つとして同じ模様となることはなく、たまに息をするのを忘れるほど真剣にひいていきます。

 

鋳造に耐えられるギリギリを見極めながら、できる限り薄く、また、

幅や長さの違うものもひいていきます。

形を作っているところ

《制作過程2》形を作る

まとう方、作り手、シルバー...

全てが調和し、音楽を奏でるように緩やかに曲げたもの、急に曲げたもの、太いものや細いものを連続させたり、交差させたりして形を作っていきます。

 

ひき目模様の美しさ、形の美しさだけでなく、完成した時の重さにも気を配ります。

 

また、身につけた時に行動を制限する部分はないか、十分な強度があるか等も考えながらデザインと実用性のバランスを見極めていきます。

(右上)水の中で石膏型を壊すところ

(左) 溶かしたシルバーを流し込むところ

​(右下)石膏液に蜜蝋を沈めた石膏型

《制作過程3》蜜蝋からシルバーへ(鋳造)

 

形を作ったら、石膏液の中に沈め、溶かしたシルバーを流し込むための石膏型を作ります。

石膏型は電気炉で半日以上かけて焼き固めます。

沈めた蜜蝋は電気炉の中で燃えてなくなり、蜜蝋で作った形の空洞ができます。

 

この空洞の中に溶かしたシルバーを流し込むことで、蜜蝋で作った形のシルバーが作られます。

流し込んだシルバーが熱いうちに型ごと水の中に入れて、型を壊して取り出します。

(毎回とっても緊張します...。

 

この工程で得られたものに、必要であればパーツやルース(石)を取り付けて研磨して作品の完成です。

2010 - present

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